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2018/09/28

カリオストロ伯爵夫人(アルセーヌ・ルパン)

あらすじ

20歳の頃のルパンの話。
ルパンは、自分の本名がアルセーヌルパンであるということを恥じて、ラウール•ダンドレジーと名乗っている。
日本人には理解しがたい感覚だけれど、ダンドレジーは、爵位を表す「ド」とアンドレジーがくっついて出来たもので、名前にこの「ド」がつくかどうかで、結婚できる相手も変わる、というものらしい。
さて、ラウール・ダンドレジーを名乗るルパンは例のごとく、恋に落ちている。相手はデティーグ男爵の娘で、クラリスという。
二人は男爵に秘密で、逢引を重ね、この日も、夜中にクラリスの屋敷で密会していた。

ところが屋敷でラウールは、クラリスの父とそのいとこ、さらにボーマニャンと呼ばれる人物が、一人の女性を裁判にかけているのを見てしまう。
裁判といっても、もちろん正式なものではなく、彼らはその女性を暗殺しようとたくらんでいるのだとラウールは気づく。

裁判の様子を盗み見ながら、ラウールは状況を理解していく。
女性はカリオストロ伯爵夫人と呼ばれる人物で、なんと、1816年から1892年まで、全く容姿が変わらず若いままなのだという。
また、クラリスの父ほか3人が隠し持っている秘密を、この女性も知っている。
また、クラリスの父の仲間二人をこのカリオストロ伯爵夫人が殺害したと彼らは主張している。

殺害が行われる夜、ラウールは彼女を助けるために、彼らに忍び寄る…。


感想

アルセーヌ・ルパンが大泥棒になった経緯を描く、ルパン初めの冒険譚。
カリオストロ伯爵夫人と行動を共にするうちに、泥棒組織の作り方を学び、あっという間に師匠をしのぐ実力をつけていく。

フランス映画の「ルパン」はこの作品を原作としているけれども、裁判が登場したり、登場人物の人物名が同じだけで、ストーリーは全く異なります。
映画では大熊座のトリックが登場していましたが、映画の結末で重要だった義眼のトリックは「水晶の栓」からアイデアを得たもの。

また、「ルパン三世カリオストロの城」の原作ともいいがたい。
ガニマール(銭形のモデル)出てこないし。
そもそもガニマールがルパンを追っかけまわしているってイメージを持っているのは日本人だけ、ルパン三世の影響なんですね。
ガニマールとルパンの対決がメインになっている話は最初の「怪盗紳士ルパン」「ルパンの冒険」あたりだけだったりします。

この作品は、カリオストロ伯爵夫人と、クラリス、ルパンの三角関係や、ボーマニャンのカリオストロ伯爵夫人に対する異常な恋愛感情など、昼ドラもびっくりのドロドロの内容…。

といっても、決して陰惨な描き方をされているわけではなくて、作風が軽快でテンポがよいのはいつもの通り。
恋愛劇に始まり、その後謎かけがあり、木箱のありかがわかってからはトリックもわかりやすく、どんでん返しもあり、あっという間に読んでしまう。

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クラリスを愛していたはずが、伯爵夫人に心を奪われ、愛し合いながら憎みあうようになる。
そういう相性の人っていますよね。
似た者同士であるうえに、主義主張の根本的な部分が合わないと、なんか張り合ってしまうというか。

そしてこの時点ではまっとうな道を歩むことを希望していたルパン。
ルパンが天賦の才能と運命のいたずらで運命の泥棒の道をあゆむことになるまでのいきさつが描かれています。

作者のルブランは、もともと純文学を志していたのに、犯罪小説・推理小説で売れたことに少し戸惑っていたと言われています。
ときどきルパンに垣間見える葛藤、まっとうな道に戻りたいという気持ち、それなのに自分の才能は別のところにあるという苦しみ。
ルブラン自身が自分の葛藤と重ね合わせていたのかもしれません。
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