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2018/03/29

続813(アルセーヌ・ルパン)

概要(あらすじ)

逮捕されたルパンは、脱獄を企てつつ、「813」「APOON」に隠された謎に挑む。
かねてから事件のキーパーソンとされてきたピエール・ルデュックの正体がヘルマン四世であると明らかになり、
事件は一気に歴史を巻き込んだ壮大な展開へと進んでいく。
813とAPOONに隠された秘密が暴かれてしまうと、ドイツ国家にとってとんでもない事態になる・・・。

ドイツ国家はイギリスからシャーロックホームズが招き、誰よりも早くAPOONの秘密問題の解決を図ろうとする。
しかし、ルパンは独房にいて、身動きがとれない。
ルパンはドイツ国家を味方につけ、謎を解くという約束と引き換えに、釈放されることに成功する。
が、そんなルパンの命を狙うやからが・・・。そして連続殺人の意外な犯人とは・・・。

読後の感想など(ネタバレ)
スピード感があり、読了まで4、5時間というところでした。

話の壮大さ、ドラマティックな展開。そして巧妙にしくまれた謎の伏線。813がルパン作品の最高峰といわれるのがうなづけた。
特に、ルパンが図らずも殺人を犯してしまい、自殺を企てるくだり。
もちろん相手は殺人犯で、ルパンが殺さずともギロチン行きだったという設定なのだけれど、それでも
それは許されることではなく、ルブランはルパンに自殺未遂を起こさせる。

この展開、ルブランがルパン作品で成功したことへの憤りが現れているのかもしれない。
ルパンを殺人者にし、自殺させれば、ルパンをもう書かなくても済むと考えたのかもしれない。
ルブランが、本当は純文学を志していて、ルパンで成功してしまったことでむしろ悩んでいたというのはルパンファンの間では有名な話だ。

イギリスのホームズも何回か死んだと思わせる展開がある。
同じヒーローを描き続けることに、作者がほとほと疲れるとこうなるのだろう(笑)。

でもそれが逆に、ルパン作品全体を深いものにしているのかもしれない。

「人を殺さない」なんてきれいごとで、相手を殺さないと自分の命が危ないという状況は、犯罪に関わるという生き方をしていると、いつか訪れてしまうのかもしれない。
しかもルパンがひそかに恋心を抱いていた相手・・・。
ただのミステリにとどまらず、謎が解き明かされる中でどろどろの愛憎劇が繰り広げられているのだ。
さすが純文学を志していた人、と思わせる展開です。客観的に見ると、ルブランはルパンを通して、その純文学の才能も活かせている様に思うのですが、本人的には納得がいかなかったのかな。まあ、文壇で成功しただけでもすごいですけどね。

ルパンも40歳を迎える頃。天才悪党と自信満々だった20代と比べ、人生に深い悲しみと試練がやってくる。
筆者自身が現在30代後半。やはりこれくらいの年齢というのは、自分の限界を思い知らされる時期なのかなと思いました。


入手できる書籍
翻訳が意外と少ない。そのうち入手困難になってしまうかも。
※が全訳。
※偕成社全集版 第6巻「続813」
※新潮文庫 ルパン傑作集(II)「続813」
南洋一郎版「ルパン全集」の最初のバージョンの復刻。内容的には現行のものと変わらない。
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