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2018/03/29

続813(アルセーヌ・ルパン)

概要(あらすじ)

逮捕されたルパンは、脱獄を企てつつ、「813」「APOON」に隠された謎に挑む。
かねてから事件のキーパーソンとされてきたピエール・ルデュックの正体がヘルマン四世であると明らかになり、
事件は一気に歴史を巻き込んだ壮大な展開へと進んでいく。
813とAPOONに隠された秘密が暴かれてしまうと、ドイツ国家にとってとんでもない事態になる・・・。

ドイツ国家はイギリスからシャーロックホームズが招き、誰よりも早くAPOONの秘密問題の解決を図ろうとする。
しかし、ルパンは独房にいて、身動きがとれない。
ルパンはドイツ国家を味方につけ、謎を解くという約束と引き換えに、釈放されることに成功する。
が、そんなルパンの命を狙うやからが・・・。そして連続殺人の意外な犯人とは・・・。

読後の感想など(ネタバレ)
スピード感があり、読了まで4、5時間というところでした。

話の壮大さ、ドラマティックな展開。そして巧妙にしくまれた謎の伏線。813がルパン作品の最高峰といわれるのがうなづけた。
特に、ルパンが図らずも殺人を犯してしまい、自殺を企てるくだり。
もちろん相手は殺人犯で、ルパンが殺さずともギロチン行きだったという設定なのだけれど、それでも
それは許されることではなく、ルブランはルパンに自殺未遂を起こさせる。

この展開、ルブランがルパン作品で成功したことへの憤りが現れているのかもしれない。
ルパンを殺人者にし、自殺させれば、ルパンをもう書かなくても済むと考えたのかもしれない。
ルブランが、本当は純文学を志していて、ルパンで成功してしまったことでむしろ悩んでいたというのはルパンファンの間では有名な話だ。

イギリスのホームズも何回か死んだと思わせる展開がある。
同じヒーローを描き続けることに、作者がほとほと疲れるとこうなるのだろう(笑)。

でもそれが逆に、ルパン作品全体を深いものにしているのかもしれない。

「人を殺さない」なんてきれいごとで、相手を殺さないと自分の命が危ないという状況は、犯罪に関わるという生き方をしていると、いつか訪れてしまうのかもしれない。
しかもルパンがひそかに恋心を抱いていた相手・・・。
ただのミステリにとどまらず、謎が解き明かされる中でどろどろの愛憎劇が繰り広げられているのだ。
さすが純文学を志していた人、と思わせる展開です。客観的に見ると、ルブランはルパンを通して、その純文学の才能も活かせている様に思うのですが、本人的には納得がいかなかったのかな。まあ、文壇で成功しただけでもすごいですけどね。

ルパンも40歳を迎える頃。天才悪党と自信満々だった20代と比べ、人生に深い悲しみと試練がやってくる。
筆者自身が現在30代後半。やはりこれくらいの年齢というのは、自分の限界を思い知らされる時期なのかなと思いました。


入手できる書籍
翻訳が意外と少ない。そのうち入手困難になってしまうかも。
※が全訳。
※偕成社全集版 第6巻「続813」
※新潮文庫 ルパン傑作集(II)「続813」
南洋一郎版「ルパン全集」の最初のバージョンの復刻。内容的には現行のものと変わらない。
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2018/03/28

ルパンのある冒険

概要(あらすじ)
彫刻家のダンブルバルは、ある首飾りを手に入れたことでひと財産を築いた。
公爵夫人に1万フランを貸した担保として首飾りを預かったのだ。夫人は期限内にお金を返せなかった。
そして10万フランは価値があると思われる由緒ある首飾りをわがものとしたのである。

ところが警察から泥棒がその首飾りを狙っていると連絡が入る。用心のため警察がすでに屋敷に向っているというのだ。
あわてたダンブルバルは、首飾りの隠し場所を変え、戸締りもきちんとするが、首飾りは盗まれてしまう!

さて、押し入ったルパンのほうは、赤ひげをつけて変装している。共犯者とともに首飾りのありかをつきとめることに成功するが、予定外に警察がやってきたため、事態は混乱に。
共犯者をまず逃がしたルパン。部屋に警察とダンブルバルらが入ってくる。さあ、どうするルパン・・・。

読後の感想など
戯曲アルセーヌルパン」の三話目に収録されている、一幕劇。軽快で痛快なルパンの事件簿。
いわゆる「アルセーヌルパンのキャラクター性」を存分に楽しめる内容。
ちょっとしたラブコメに、「お前は誰だ!」「アルセーヌ・ルパンだ!」っていうお決まりのやつもやってくれる、
警察も完全に小ばかにされるコメディ作品。

一幕劇と言っても、まじめにすべてのせりふを上演したら1時間程度になると思われる。
かけあいがほとんどの現代劇と違い、ながぜりふも多い。
場面転換すらなくダンブルバル・マレスコ・ルパンの三人でずっとしゃべっているから、俳優さんは大変ですね。
しかもルパン役って、かっこよくて三枚目もやれないといけないから結構難しいと思う。

『奇岩城』や『813』のころに書かれたもので、単行本第二冊「ルパンの冒険」の戯曲版で主役を務めたアンドレ・ブリュレが主演を勤め、大好評だったそうです。

抄訳を作ってみましたのでぜひお楽しみあれ。

ストーリー(抄訳)
登場人物
・ダンブルバル マルスリンの父(母、姉などに変更可能)
・マルスリン

・ガニマール
・共犯者

・ルパン

彫刻家のアトリエ。
・ ついたてが一つ。そのそばに鏡と化粧道具、スプレー(モデルの化粧スペース)
・ 舞台奥に両開きの扉。
・ 舞台下手にドア)
・ 下手にカーテン
・ 机(上に簡単な棚)
・ 椅子
・ 彫像
・ 首飾り
・ 花瓶
・ 写真
・ 見取り図
・ 鍵をこじ開ける道具(道具箱)

マルスリンは首飾りをつけている。
マルスリン「・・・誰かいるわ」
ダンブルバル「誰もいないよ、何をびくびくしているんだい」
マルスリン「この首飾りのせいよ!わかってるくせに!」

マルスリン、カーテンをくぐって自室へ。コートを脱いで戻ってくる。

ダンブルバル「おい、この首飾りのおかげでこの贅沢な暮らしが出来ているんだぞ。この彫刻の注文がきたのもわしが由緒在る首飾りの持ち主だからこそ。わしの最高傑作だからな」
マルスリン「自分のものじゃないくせに」
ダンブルバル「わしのものだよ!わしは公爵夫人に1万フランを貸した。担保としてこの首飾りを預かったのだ。夫人は期限内にお金を返せなかった。そして正当に、わたしが首飾りの持ち主となったんだ、何もやましいことはない」
マルスリン「首飾りの値打ちは1万フランどころじゃないでしょう」
ダンブルバル「そうだ、わしもお前も幸運だったな」
マルスリン「とにかく、こんな高価な首飾りをつけて歩くのはもう嫌よ」
マルスリン、首飾りをダンブルバルに渡す。

マルスリン「気づいた?今朝パパが絵を書いているとき、モデルのロシア人が首飾りをじっと見ていたわ。パパが机の上の棚に首飾りをしまったのにも気づいたわよ」
ダンブルバル「そういうやからもいるだろう。けれど私は常に同じところにしまうなんてバカな真似はしないよ。普通の人なら絶対にしまわないところにしまえばいいんだ。たとえばここ・・・。(花瓶の中に首飾りを入れる)」

そのとき、電話が鳴る

マルスリン「こんな夜中に!!」
ダンブルバルが電話を取る
ダンブルバル「もしもし・・・え?警察?はい・・・はい・・・(次第にふあんな様子になる)まさか!もしもし?くそっ、切れた」
マルスリン「どうしたの?」
ダンブルバル「警察からだ。うちが泥棒に狙われているという情報を掴んだらしい。しかも今夜!」
マルスリン「いわんこっちゃないわ!」
ダンブルバル「心配するな、すでに警察が2名こちらに向っているそうだよ。(玄関と通路のドアの鍵を確認する)大丈夫、安心して休みなさい」

2人、自室に引き取る(マルスリンはカーテンの向こうに隠れ、ダンブルバルは反対側から退場)


ルパンと共犯者が入ってくる。ルパンは赤いひげをつけ、ぶかぶかの服を着こんで労働者の姿をしている。

ルパン「よし、万事順調だ。(鏡を見て)うわ、似合わない変装だな。いかにもワルって感じだ。ワルセーヌ・ルパンか」
ルパン、ふとマルスリンの写真に気を奪われる
共犯者「ボス、早く!」
ルパン「まあそうあせるなよ。この写真、舞踏会で見かけた子なんだよ。ここの住人らしい。ロシア人の爺さんがくれた、見取り図は?」
共犯者「あります。(図面を取り出しそれぞれの場所を指しながら)こっちが玄関、こっちはその写真の娘の部屋で、(ついたてを指し)ここがモデルたちの化粧スペース、(ドアを指し)あっちは裏通路です。たぶんこれが例の机ですね」
ルパン「机の上の棚だって、ロシア人が言ったな・・・」
共犯者「鍵がかかってます」
ルパン、道具を取り出し
ルパン「ルパン特製の合鍵があるのさ。(道具を取り出し鍵を開け)・・・そんなばかな!」
共犯者「どうしました?」
ルパン「棚は空だ」

そのとき、物音がして2人はついたての陰に隠れる。

ダンブルバル「誰だ!!(見回して)ん?誰もいない・・・か。(首飾りを花瓶から取り出して確かめ、安心して)・・・ふう。」

自室に戻る。

ルパン「わざわざありがとう!(首飾りを取る)」
共犯者が玄関ののぞき窓から外を覗き
共犯者「ボス!警察が来ました!」
ルパン「なに!?」
共犯者「どうします?」
ルパン「証拠隠滅が間に合わない。お前は逃げろ。俺は考えがある」
共犯者、戸惑いながら逃げる。退場。
ルパン、ぶかぶかの服をこれみよがしにその場に脱ぎ捨て、(下はスーツ姿である)隠れる。
ルパンの道具が放置されている


ガニマールとダンブルバルが入ってくる
ガニマール「実はあるロシア人の方から、犯行が今夜予定されていると通報があったんですよ。」
ダンブルバル「わざわざご足労ありがとうございます。ロシア人・・・おそらく私のモデルのロシア人の爺さんですな。しかし、いまのところ何事もありません。貴重な首飾りも 確かにここに・・・(花瓶の中を確かめ)!!!盗まれた!!(へなへなと崩れ落ちる)」

絶望を表す効果音
さわぎをききつけマルスリンが入ってくる
マルスリン「どうしたの?」
ダンブルバル「盗まれた!首飾りが!」
マルスリン「え!!」
ダンブルバル「早く犯人をとっつかまえてくれ!!」
ガニマール「落ち着いてください。犯人はまだそう遠くにいっていないはずです。(あたりを見渡し)おや?この服はあなたのものですか?」
ダンブルバル「違う!!」
ガニマール「これは!!犯人の作業服に間違いありません。ロシア人が話していた犯人の特徴とぴったり一致しています」
ダンブルバル「犯人とは?」
ガニマール「われわれが数日前から捜している悪党です。赤ひげの男で。」

ガニマール、まわりを調べる
ガニマール「このドアは?」
ダンブルバル「広場に通じています。内側からも、外側からも鍵がないと開けられません」
ガニマール「あちらのドアは?」
ダンブルバル「あちらも同じです。」
ガニマール「鍵は?」
マルスリン「私の部屋にあります」
マルスリン、部屋から鍵を取ってきて見せる。
ガニマール「屋敷の外がどうなっているか見せていただけますか」
ダンブルバル「もちろん。(娘に)マルスリン、お前は部屋にいなさい。」
ガニマール、作業服の写真を撮ってから押収し、ふとルパンが置き去りにしていた合鍵の道具箱を見つけ、念のため押収する。

ルパンはついたての陰で変装のひげを外す。化粧道具の中からタオルを見つける。
ルパン「さあ、とんずらするか。(化粧道具から香水のスプレーをとり)いいにおいだな、ついでにいただいとくか」

道具類を出して裏口の鍵を開けようとして、道具が押収されたことに気づく

ルパン「あのこそ泥め!!俺の道具がない!(玄関のほうに行き)見張りがいるのか・・・やっぱり裏口の鍵をこじ開けないとここから出られない!(しばらく考え、電話をかける)もしもし・・・。ああカロリンぬ?ベルナールに伝えてくれ。ダンブルバルのアパートに閉じ込められている。見張りの刑事がいっぱいいる。警察を始末して僕を待つように言ってくれ。10分で頼む・・・(電話を切って声色を変え)お嬢さん!私です!ガニマールです!」

マルスリン、出てきて息を呑む

ルパン「声を出さないで!私ですよ!」
マルスリン「誰?」
ルパン「どうか怖がらないで、怪しいものではありません。」
マルスリン、恐怖でへたりこみ、助けを呼ぼうとする、ルパン阻止して
ルパン「声を聴かれてはなりません。とても重大な理由があります。それは・・・それは・・・ぼくがあなたのもとに・・・あなたのためにここに来たということを知られては困ります。(やっとうまい弁解を見つけて、矢継ぎ早にしゃべりだす)そうです、僕はあなたのためにここに着たんです。先日舞踏会であなたを見かけて。いえ、それだけではありません、私はあなたがどこにいるときも・・・話しかけようとしてもできなくて。競馬場でも・・・」
マルスリン「(いぶかしげに)競馬場なんていったことないわ」
ルパン「いえいえ、いらしたじゃないですか!ええと、中には入っていないですが・・・そうそう、そばを通りかかったはずです!それにあなたが劇場に足を運ぶたびに・・・」
マルスリン「劇場も行った事ないのに」
ルパン「どうか話を聞いてください。時間がありません。私はずっとあなたに話しかける機会をうかがっていたんです。やっと昨夜、舞踏会であなたを見かけました。舞踏会を主催したトレモール夫妻は僕の友人なんです。ご主人と僕はいつもクラブで・・・」
マルスリン「でも、トレモール夫人は未亡人だわ」
ルパン「(無理に勢いよく)そうです!ご主人が亡くなってからはね。ご主人がもし生きていらしたら、あなたを紹介してもらうこともできたのでしょう。けれど、僕はただあなたを眺めて過ごしていたんです。そしてつい、屋敷まで来てしまいました、そしたらこんな泥棒事件に出くわしてしまって。顔を見られでもしたら。僕はこの出口から出て行きます。わかっていただけますね」
マルスリン「いいえ、わかりません。私は父とここに帰ってきました」
ルパン「それで?」
マルスリン「部屋にはしっかりと鍵をかけました。それなのにあなたは、どうやってここに?」
ルパン「ただこうやってここにいるだけです。そんなことは重要ではありません」
マルスリン「(あとずさりして)とんでもない!重要だわ。あの男と来たのね、赤ひげの男・・・」
ルパン、荒々しくマルスリンを引き止める。マルスリンがおびえ、ルパンは冷静さを取り戻す。マルスリンを落ち着かせ椅子に座らせる。
ルパン「(口からでまかせに話し始める。行き会ったりばったりで話が矛盾している)そうです、僕はあの男と一緒に来ました。けれども仲間ではないんです。あいつは最低のろくでなしです!僕はただここに来るためにアイツを利用したんです。首飾りはあいつが盗みました。けれど僕は何も・・・(あたりを見回しマルスリンの写真をさっと机からとって)いえ、実は、写真を盗みました、すみません、あなたの写真がどうしてもほしくなってしまって。でもこれはお返しします、すみません、出来心です。(マルスリンはあまりにバカな相手に徐々に安心をはじめ、一方ルパンは目的を成し遂げようとはやる気持ちと、演技のためにますます差し迫った口調になる)どうか、僕を追い出してください。・・・追い払ってください。そうでないと、言ってはいけないことを言ってしまいそうです。言うまいと思っていたのに、もう押え切れません、愛しています、あなたのことしか考えられないのです。僕の気持ちをお伝えできるなら、聞いていただけるなら、ああいとしいひと、僕がどんなに苦しい気持ちでいるか。でもあきらめなければ、ああ、もう二度と会えないなんて!!僕は出て行きます、どうか鍵をください!」

あまりの事態にマルスリンはうっとりし、ほとんど無意識に鍵を渡してしまう

ルパン「ありがとう、本当にありがとう!(小声で)ふう、うまくいったぞ」
鍵を使って裏口を開けようとし、マルスリンのほうを振り返る。見ると、マルスリンはすがるような涙目でルパンを見ている。(行かないでといいたいがいえない様子)
何が起こったのかを察したルパン、罪悪感に駆られて戻ってくる
ルパン「許してください。世の中にはぬきさしならない事情ってモノがあるんです。何とか抜け出そうとして、僕は道を踏み外したようですね」
マルスリン「出て行ってください!」
ルパン「あなたの好意を踏みにじるわけにはいきません。恋するヒーローの顔をしたまま去っていきたくないんです。ぼくがあなたに言った言葉は全て嘘です。忘れてください、みんな嘘です、汚い芝居を打っただけです」
マルスリン「(泣いて)出て行って!出て行って!」
ルパン「僕はなんてくだらない生き方をしているんだろう。もう手遅れです。この鍵ほしさに嘘をついたと後悔したくないんです。どうぞ、あなたの鍵です、僕にはもう使えません」
マルスリン「そんな!まだ間に合うのに・・・」
ルパン「心配には及びません」
ルパン、時計を見ていらいらした様子をする。
そのとき、ダンブルバルとガニマールが帰ってくる。
ダンブルバルは2人の様子から、娘が男を連れ込んだと勘違いする。
ダンブルバル「どなたですかな」
ルパン「(ダンブルバルの様子を見て事情を察し、恋人気取りで)ごあいさつもせず申し訳ありません、私は探検家のオーラスと申します」
ダンブルバル「どうやってここに来たんだね」
ルパン「歩いて」
ダンブルバル「どうやってここに入ったかと聞いてるんだ」
ルパン「ドアを開けて」
ダンブルバル「それはありえない。ドアには鍵がかかっていた。見張りもいる。ということは(娘を見て)だれかが中に入れたとも考えられる。(娘に向って)そうなんだな!こんんな夜中になんてことを!答えなさい!」
マルスリン「・・・ええ、そうよ、パパ。私の恋人なの。」
ルパン「(マルスリンが責められ、しかも自分をかばうのに耐えられなくなり)やめてください!!」
ルパン、間に割って入る。

ルパン「お嬢さん、だめです、そんなことしなくてよいんです。そう、僕はお嬢さんに言い寄るためにここに来たのではありません。」
ダンブルバル「じゃあどんな目的でここに来たんだ?」
ルパン、机の上に首飾りを返す。
ダンブルバル「泥棒だ!」
ガニマールルパンに銃を向ける
ガニマール「泥棒は赤ひげの男のはずでは?」
ルパン、ポケットから赤ひげを取り出し見せる
ガニマール「赤ひげ!!」
ガニマール「お前は一体誰なんだ?」
ルパン「驚くなよ、おまわりさん。アルセーヌ・ルパンだ」
一同「アルセーヌ・ルパン!!」
びっくりした、ダンブルバルは、あわててマルスリンをかばい、部屋に逃がす。
マルスリン、退場。
ガニマール「(ルパンに銃を向け)屋根の上も、この階段も包囲されている、アルセーヌ・ルパン、降伏しなさい」
ルパン、ガニマールの銃を指差し
ルパン「もうちょっと右じゃね?それからもうちょっと上・・・」
ガニマール「ふざけるんじゃない!降伏しなさい」
ルパン「いつだって、そうしますよ」
ガニマール「武器をよこすんだ」
ルパンはさっき盗んだ香水のスプレーを渡す。ガニマール、ルパンの動きに気をとられていて、ろくに見もせずにスプレーを受け取り、さっさとしまってしまう
ルパン「用心しろよ、弾が入ってるんだから」
ガニマール「(手錠を取り出し)降伏しろ、さもないと・・・」
ルパン「撃てっこないさ」
ガニマール「ひとつ、ふたつ・・・」
ルパン「タイム!」
ガニマール「は?」
ルパン「タイムって言ったんですよ(深刻ぶって)運命が僕に死ねというのなら・・・言い残したいことがあります・・・(ルパン、時間を稼ぐためにまた適当に話し始める)そう、首飾り、首飾りはここにあります。この首飾りは今あなたの所有物となっていますが・・・(言いながらじりじりと移動して、彫刻を机から奪い、盾にする)武器を捨てろ!さもないとお前の傑作品が木っ端微塵になるぞ!」
ダンブルバル「私の彫像!」
ルパン「あんたは大バカだな。僕が正体を明かしたのは成功間違いなしだからさ、じゃあな」
ルパン、立ち去ろうとする。そこに警官が入ってきてるパンの前に立ちはだかる(客から顔が見えない)
ガニマール「残念だな、ルパン。君は包囲されていると言っただろう」
ところが、警官は逆にガニマールに襲い掛かる。不意をつかれえてガニマールは倒れ、縄でぐるぐる巻きにされてしまう。
ガニマール「うわ、何だ!きさまら、何をする!!」
あっけにとられるダンブルバルをルパンがとらえ、身動きできなくしてしまう。
警官「お待たせ、ルパン!」
かつらを脱ぐ。共犯者である。
ガニマール「くそ!仲間だな!・・・悪党め!」
ルパン「こちらは僕のシークレットサービスです。どうです?気が利いてるでしょ?(部下に)さあ、ずらかるか」
ルパン、机の上に返した首飾りを頂戴する
ガニマール「このごろつき!ぬすっと!」
ガニマール、やっと片手が自由になり、さっきルパンから押収したスプレーを取り出し、拳銃じゃないことに唖然とする。腹が立ってめちゃめちゃに香水をばらまく
ルパン「どうも、この香水は大好きなんだ。ではまた、ちかいうちに!」


入手できる書籍
論創海外ミステリ
戯曲アルセーヌ・ルパン」
2018/03/27

813(アルセーヌ・ルパン)

概要(あらすじ)
ホテルに宿泊していたケッセルバッハ氏のもとにルパンがしのびこんだ。
ケッセルバッハ氏はある秘密を握っており、ルパンはその秘密についてかぎまわっているのだ。

脅したりかまをかけたり、あの手この手でルパンがつきとめたのは
<APOON>という謎の文字列と、ピエール・ルデュックという男の人相書きであった。

あくる日、ホテルの支配人はケッセルバッハ氏が自室で殺されているのが発見される。
状況から見て忍び込んだ人物がルパンであることは間違いなかった。

ルパンが彼を殺したのか?警察が真相に迫ろうとすると、証拠を握っている人物がホテルの中でつぎつぎと殺害されてしまったのだ!極悪非道の連続殺人!事件に人々は震え上がる。

そのころルパンは「セルニーヌ公爵」の名前で生活していた。
ルパンは、殺人事件について冤罪であると抗議の手紙を送り、自ら真犯人を挙げて見せると
警察および世間に誓ったのであった。

そしてルパンは、美しい娘ジェヌビエーブ、そして夫を失い失意のあまり病に伏せったケッセルバッハ夫人の世話を始める。
この三人の人間関係とは・・・。

読後の感想など(ネタバレ)
長編の前半部分。読了までは4,5時間と言ったところでした。

今までの長編の中でも特にスピード感があり、分量の割にはすぐに読み終わる。そしてラストにどんでん返し。
さすがルブランの最大傑作といわれる作品です。

ルパンがいつもより悪い人ですね。これは、もともと原作がこんな感じなのか、それとも、
訳によって余計そう見えるのか。しかし、自殺者を救った上で小指を切らせるところなどは、日本のヤクザ映画さながらw。
ただそういった暮らしぶりのツケが「続813」で回ってくるわけですが。

ルブランの書き方の特徴に、登場人物の関係性を最後まで明らかにしないというのがあります。
ジェヌビエーブやケッセルバッハ夫人の話は後半に固まっていますし暗号解読もまだですので、
813を読んだら続813は読まざるをえません。というよりそこまで読んでこそのドラマですので、読みたくなってしまうでしょう。

まあそれでも土日をつぶせば読める分量ですので^^;
813まで読んで見ると、すべてがこの冒頭とは全然違う方向に展開していきますので、
結論がわかったうえでもう一度始めから読み直したら面白いかもしれません。

入手できる書籍
名作の割に恐ろしく翻訳が少ないです。子供向けにはあまり適切でない作品だというのはうなずけます。ですので、子供向けが少なかったり、出されても大幅な改編が加えられてしまうのはしょうがないにしろ。大人にとってはやはりルパンの最高峰といわれる作品ですから、もう少し翻訳に種類があるとありがたいところですね。

※が全訳。
※■偕成社全集版 第5巻「813」
※■新潮文庫 ルパン傑作集(I)「813」
■ポプラ社版 第6巻「813の謎」
※■偕成社文庫「813」
■ポプラ文庫クラシック「怪盗ルパン全集」
「8・1・3の謎」
2018/03/26

奇岩城

概要(あらすじ)
レーモンドは何者かが自分の屋敷に侵入する物音を聞く。庭を男が逃げようとする姿があり、父親と召使が刺されて倒れていた。
召使は即死。
犯人の手がかりはまったく見当たらず、捜査は困難を極めた。犯人の目的は窃盗と見られるが、屋敷から何が盗まれたのかすら不明だった。

ところが、捜査に高校生の探偵イジドール・ボートレが加わり、捜査は一気に進展をはじめる。
彼は盗まれたものが何か、犯人はどこにいるのかまでを推理する。
彼によると殺人犯と窃盗犯は別の人物だとし、窃盗犯のほうはアルセーヌルパンだというのだ。

ルパンはきっと、まだ屋敷付近の廃墟に潜んでいる、傷を負って・・・。
イジドールとルパンの戦いのはじまりであった!

やがて事件は、マリーアントワネットやルイ14世の時代までさかのぼり、
歴史をくつがえす大きな謎へとつながっていく!!
アントワネットは、断頭台にのぼるまえ、あるフランスの秘密を、暗号に託していたのだった・・・。

読後の感想など(ネタバレ)
秀逸な暗号に、推理、冒険のつまった力作。特に最後の2ページは泣ける。

この話が南洋一郎氏のお気に入りだったからなのか、もしくは少年が主人公で推理が進んでいくからなのか、
南洋一郎氏訳の子供向けルパンではこの話が第一冊になっている。
そのため、ルパンといえば「奇岩城」だと思っている日本人も少なくない。

ノーカットの大人版を読んで見ると話は壮大でドラマティックです。
ルブランは純文学を志していたらしいですが、純文学で売れなかったにしても、その心情描写の力や、人間ドラマを描く力が、ルパンをほかの推理小説とは一線を画す作品にしているのは確かですね。
ただの謎解きではなく、そこにはリアルな人間の感情があり、ときに美しくときにどろどろした人間関係があります。

舞台化も当時は成功したようなのですが。ブロードウェイなどのロングラン作品がないのは残念ですね。(ブロードウェイがやれば劇団四季もやるでしょう)
魅力的なキャラクター、ドラマティックな展開、それに物語全体を引っ張る謎。どの話も絶対おもしろいのに。
ただルパンの変装をどう演出するか、作品によっては演出家が頭を痛めてしまうかもしれませんが^^;



さてさて、大人版全訳の奇岩城ですが・・・正直、前半の少年が主役の部分はあまりおもしろくないんですね、大人には。
子供から見れば同年代のスターが活躍する話の方がおもしろいかもしれないけれど大人目線だとどうしてもボートルレが生意気なガキにしか見えないからでしょう。ルブランの文章力に引っ張られてどんどん読めることは読めるのですが、ルパンがなかなか出てこなくてちょっといらいらします。
「ルパンは死んだのか(シリーズになっているのだから死んだわけがない!)」という、今となっては謎になっていない謎の部分もいまやいらない・・・。いや、ルパンの隠れ場所もおもしろかったのですが、もっと短く結論に達してもよいのかなと感じました。

アントワネットが出てきて話が壮大になってきて、あとルパンが登場すると一気に面白くなってくる。

アントワネットについては・・・。私は歴史は苦手ですが「ベルバラ」を読んでいれば知識としては十分です(笑)。
ルパンシリーズ全般的に、歴史が苦手な女性は「ベルバラ」を読んでから読んだほうが楽しめるかもしれませんね。

「フランス革命」もしょっちゅう登場しますし「首飾り事件」がモチーフになった作品もあります。
が、作中では歴史そのものの解説はしてくれませんので^^;

文字だけでこれらの壮大な歴史をイメージするのはなかなか困難ですから。

話は奇岩城にもどって。

誰がルパンか、というお決まりの謎の答えも意外だったし、とにかくラストはドラマティックで悲しいです。
ここに私があらすじを書いても泣けないので、やっぱりそこはルブランの才能ですね。
たった数ページなのにすごい文章の力です。

ルパンが何年もかけてとんでもない財産を築き、それを投げ打ってでも恋人に尽くそうとするのに、
ホームズによって彼女が殺害され、ルパンの夢は藻屑と消える。

(これ、実際にやったらホームズは国際指名手配されてしまうと思うのですが^^;)

好きな女性ができるたびに「泥棒はやめる」と決心するルパンですが、運命がそれを阻止していくのですね。

入手できる書籍
子供向け翻訳が多いのが特徴。※が全訳。
※■偕成社全集版 第4巻「奇岩城」
※■新潮文庫ルパン傑作集(III)「奇岩城」(一部改定あり)
※■創元推理文庫「奇巌城」(一部改定あり)
※■ハヤカワミステリ文庫「奇岩城」
■ポプラ社版第4巻「奇巌城」
■集英社文庫「怪盗ルパン 奇巌城」
■講談社青い鳥文庫「怪盗ルパン奇岩城」
※■岩波少年文庫「奇岩城」
※■偕成社文庫「奇岩城」
■講談社文庫「奇巌城」
■集英社・子どものための世界文学の森「ルパン城」
■角川つばさ文庫「奇岩城」
■ポプラ文庫クラシック「怪盗ルパン全集」
「奇巌城」
2018/03/08

ルパンの冒険 概要

概要(あらすじ)
ジェルメーヌは何不自由なく育てられたお嬢様で、日々召使のソニアをいびっている。
ジェルメーヌの父親は大変な富豪で、数々の美術品を収集していた。
数年前には、アルセーヌルパンから予告状が送られ、何もかも盗まれてしまったという過去もある。


しかし、もっとも価値があると思われた宝冠はそのとき無事であった。


そんなジェルメーヌとシャルムラース公爵との婚約が発表される。
ジェルメーヌはシャルムラース公爵を愛しているというよりは、身分によって結婚相手を選ぶタイプの女性だった。
気立てのよい娘ソニアは、このシャルムラース公爵に密かに想いを寄せていたが、黙ってジェルメーヌの結婚式の準備を手伝っていた。

そんなとき、ジェルメーヌの父親グルネイ=マルタンのもとに再度ルパンから予告状が届く。

今度こそ宝冠をいただくというルパン。大切な宝冠を守るため、ジェルメーヌの父とシャルムラース公爵は、警察に応援を頼み、宝冠を守るための戦いを繰り広げる。
果たして宝冠は盗まれてしまうのか、ルパンはどこにいて、どうやって宝冠を盗むつもりなのか。

怪しい事件はふたつ。
まず、ジェルメーヌの父グルネイ=マルタンのもとにシャロレという姓の親子が訪れる。「車を中古で譲ってほしい」とうのだ。息子は盗癖があり、車の価格の話し合いの最中に部屋で見つけたものを盗んでしまう。
この子の盗癖に気づいたのはシャルムラース公爵で、その観察眼は、警察も驚くほどであった。


宝冠を隠してあるパリの屋敷へグルネイ=マルタン氏が向かおうとしたところ、三台あるはずの車のうち二台がなくなっており、たった百馬力の頼りない車しか残されていなかった。

公爵とゲルシャール警部が、協力して、ひとつひとつの謎に挑んでいく。



読後の感想など
この話をおススメしたい理由は、まず第一に「ルパン三世カリオストロの城」の有名なせりふ「やつはとんでもないものを盗んでいきましたよ・・・あなたの心です」の元になったと思われるせりふが出てくること。

ただし発言の主は、警部ではなくルパン本人です。
「あなたの心を盗みたくて仕方がない」と言ってます。

謎解きはもちろん、ソニア・ジェルメーヌ・シャルムラース公爵の三角関係(?)を描いたラブコメも見もの。

作中で「ゲルシャール警部」が登場するのだが、おそらくこれはガニマール警部をイメージした登場人物。
この作品を手がけた出版社の社長が「ガリマール」という名前だったので、似るのを避けるため、名前を変えて登場させたといわれています。

この作品は、はじめ戯曲として上演されたあと、小説化されました。なので、ゲルシャール警部とルパンのやりとりや、恋愛を描くシーンがドラマティックで、上手い役者で舞台化されたら相当な迫力がある作品だと思われます。

やはり短編よりは印象に残るラストが用意されていますし、全体的なバランス感がよく、読みやすい作品でもありました。
ほかのルパンシリーズを読んでいなくても問題のない作品ですし、ルパンのキャラクターもわかりやすく描かれていて、私はとても好きな作品です。

入手できる書籍
少しずつ入手できる翻訳の種類が減ってきます。大人向けは偕成社か創元推理文庫かの2択。

偕成社全集版 第3巻「ルパンの冒険
創元推理文庫「リュパンの冒険」
ポプラ社版第5巻「消えた宝冠」
講談社青い鳥文庫「怪盗ルパン王女の宝冠」
論創海外ミステリ「戯曲アルセーヌ・ルパン」(戯曲を忠実に訳した貴重なもの。マニア向け)
偕成社文庫「ルパンの冒険
2018/03/07

ルパン対ホームズ 第二話 ユダヤのランプ

概要(あらすじ)
ホームズのもとに、フランスから依頼が届いた。差出人は、ある重大な盗難の被害者だという。ところが、同時に届いたもう一通の書留は、「事件から手を引け」という警告の手紙だった。差出人は・・・アルセーヌルパン

ホームズは忠告を受け流し、フランスへと向う。

被害者の男爵の説明によると、事件の概要はこうだった。

盗難が起こった夜、男爵は全ての扉に内側から鍵をかけた。窓も閉めておいた。しかし、朝になると窓のひとつが何者かによってこじ開けられていた。犯人は外から窓を開けたにちがいない。庭の花壇に、はしごをたてかけが跡がついていた。

盗まれたのはユダヤのランプ。
ランプ自体は高価なものではないが、隠し場所がついていて、その中に高価な宝石が隠してあったのだという。

その宝石の隠し場所は誰も知らなかったはずなのに・・・。

ホームズは捜査を開始した。ところがそのとき、またもやホームズが電報を受け取る。
その電報にはこうかかれていた。

「あなたが短時間で行った捜査の成果は驚くべきものです。ただただ唖然とするばかりです、アルセーヌルパン

どうやら、屋敷でのホームズの行動は、ルパンに筒抜けなのだ!

読後の感想など
ルパン対ホームズは、この話の方が短く読みやすいです。また、ホームズとの戦いの最後にルパンの生き方・主張なども盛り込まれているので私にとっては読み応えがありました。
第1話「金髪の美女」を読んでいなくても、特に支障はありません。

ルパンに出てくるホームズを読んでいると、これがヒットするってことは、フランスとイギリスって本当に仲が悪いんだなあと^^;思います。(今はどうかわかりませんが、当時はもっとだったのかも)

ホームズは強いライバルという設定ですが結局こてんぱんにされますし。

なによりルパンの性格はドイルの描いたホームズとあまりにも対照的なのです。

堅物で事件にしか興味のないホームズ。
恋愛に積極的で、怪盗意外にもいろいろな職業に扮して楽しむルパン。

興味をひく事件がないときはダメ人間のホームズ。
ダメ人間(一応犯罪者ですからね・・・)でも特に自覚のない根アカなルパン。

基本的に一人で行動するホームズ。
たくさんの手下を使い、その分裏切りにもあうルパン。

各国の理想のヒーロー象が、文化によって全然違うのだなと感じました。

日本も「がんばれ、がんばれ」の時代は過ぎました。
力を抜いて人生を満喫するルパン。
一応犯罪者です。実在したら・・・もう社会からとっくに脱線してる「負け組」なわけですがw
なにがあってもけろっとして、自信満々な、ルパンに元気をもらいます。


入手できる書籍
偕成社全集版 第2巻「ルパン対ホームズ
新潮文庫 ルパン傑作集(V)「ルパン対ホームズ
創元推理文庫「リュパン対ホームズ」
ポプラ社版第3巻「ルパン対ホームズ
講談社青い鳥文庫「ルパン対ホームズ
岩波少年文庫「ルパン対ホームズ
偕成社文庫「ルパン対ホームズ」
ハヤカワ・ミステリ文庫「ルパン対ホームズ」
2018/03/06

【アルセーヌ・ルパンの名言&迷言 】あなたの心も盗みたくて仕方がない

あなたのキスも、あなたの心も、すべて盗みたくて仕方がないんだ。
ルパンの冒険)

ルパン三世カリオストロの城」の有名なせりふ
銭形「いえ、やつはとんでもないものを盗んでいきましたよ・・・あなたの心です」

の元となったと思われるせりふ。

単行本では第三巻に当たる「ルパンの冒険」に収録されている。

フランス語にも「心を盗む」という表現があるんですね。
私はフランス語は読めませんが、英語版は
I long to steal your kisses, your thoughts, the whole of your heart.

やっぱり「心を盗む」なんですね。
2018/03/05

怪盗アルセーヌ・ルパンの容姿

はじめに私が怪盗ルパンを読んだのは挿絵もなにもない、電子書籍でした。


そして電子版では全巻揃わないので、偕成社の全集をかき集めました。

確か子供のときよんだのはポプラ社番でした。
訳については全訳・抄訳・好き嫌いいろいろあります。
けど、各社に言いたいことがひとつだけある。

関わる女性をみんなとりこにしてしまう、モテモテ、そのルパンが・・・。

こんな見た目なわけがないでしょう!?!?!
Lupin01.jpg
ピエールラフィット社刊『怪盗紳士ルパン』表紙(1907年)


ほかの挿絵もね・・・。
aoitori13.jpg
青い鳥のは、普通のおじさんだし・・・。
minami2.jpg
ポプラ社・・・うーんww
iwanami1.jpg
いや、無理でしょうwww。

子供用の書籍はたいてい、恋愛面は省かれていたり、省かれてないとしてもどうせわからないから、わかりやすくこわ~い、怪盗がいいってのもあるかもしれませんが。



先に言ったように、私は電子書籍で挿絵なしで読んでました。
それでイメージした容姿は・・・。

ルパン



うん、OK!!!



フリーのイラストサイトからあれもちがう、これも違うとさがして、三日月アルペジオさんで見つけた素材を利用させていただいてます。




ちなみに、最近は原作の著作権が切れた関係か、漫画家もされていて、漫画だとかっこいいルパンが描かれてます^^
漫画の絵で一番イメージに近いのはこれかなあ・・・。
2L.jpg


学研なんですね、意外。
2018/03/04

ルパン対ホームズ第1話 金髪の美女

概要(あらすじ)
ジェルボワ氏は、ある日娘にプレゼントするために、机を購入する。ところが、支払いをすませたあと、横から「その机を譲ってくれ」と言い出す男がいた。ジェルボワ氏は断った。しかし、机は数日後、何者かによって盗まれてしまう。

ジェルボワ氏が悲嘆にくれたのは、机がなくなったせいだけではなかった。
なんと、机の引き出しには宝くじの当たり券が入っていたのだ!

早速新聞広告により、当たりくじをもった犯人に連絡をとろうとしたジェルボワ氏。
返事を送ってきたのはなんと、アルセーヌルパンだった!

この事件により、警察が見かけた「金髪の女」が、やがて訪れるオートレック男爵殺害事件を解く鍵となっていく。


続いて起こったオートレック男爵殺害事件は、加害者の動機が全く不明であった。
彼が持つ希少な宝石、青いダイヤモンドですら、死体が身につけたままであり、なにも盗られた形跡がない。

一向に捜査が進まず、警察はイギリスの探偵シャーロック・ホームズを呼び寄せることを決意する。

読後の感想など
モーリス・ルブランの孫が、「ルパン三世」の作者モンキーパンチを著作権の侵害で訴えたという話がある。

しかし、そういうルブランこそ、シャーロックホームズ(エルロック・ショルメ)を、作者存命中に作中に登場させ、メタメタにしている。

エルロック・ショルメがよくて、ルパン三世がだめってのはないだろう。

それが争点だったかどうかは不明だけれど、結局裁判も著作権の侵害には当たらないという判決だったらしい。

ホームズは、「優秀な探偵」と描写されるものの、フランスに到着したとたんルパンに監禁され、ワトソンの腕の骨まで折られてしまう。
前回の「遅かりしシャーロック・ホームズ」よりもさらに、ホームズたたきに遠慮がなくなった印象。ただし、途中ホームズに追い詰められる(かのように見える?)シーンなどもある。

とにかく、「シャーロックホームズ」を期待して読むのは間違いである。だったら、ホームズの出番は減らしてルパンを増やしてほしかったなあ・・・。

ルパンの恋人
そしてこの話ではルパンに恋人がいる。どうやら、プロヴァンス号で出会ったネリー嬢とは別人だ。
「ぼくはただ、あなたを愛するからこそ、あなたを愛しているのです」

・・・フランス人は情熱的ですなあ・・・。
とおもったら次の話では別の女性くどいてるw。

まあ、あるイタリア人の話によると
「きれいな女性をみかけて口説かないのは、失礼に当たる。その女性が美しいと認めていないのだ」
とのことですから。

ちなみに筆者の経験ではフランスでスーツケースを持ち運んだことはありません!!
女性が重い荷物を持っていたら、通りすがりの男性が、運んでくれるんですよ。
口説かれてたかどうかはフランス語がわからないのでわかりません!が^^;
それくらい、フランス人男性は誰にでもやさしいです。

「ああ2人の愛は深いんだな」と日本人の感覚で読み進むと、次の話では全然違う相手になってたりして肩透かしを食らうので、あまりルパンの「愛してる」は「君、かわいいね」くらいに心の中で翻訳しなおしながら読み進むのがよいと思われますw。

入手できる書籍
偕成社全集版 第2巻「ルパン対ホームズ」(全訳)
新潮文庫 ルパン傑作集(V)「ルパン対ホームズ」(全訳)
創元推理文庫「リュパン対ホームズ」(全訳)
ポプラ社版第3巻「ルパン対ホームズ」(抄訳)
講談社青い鳥文庫「ルパン対ホームズ」(抄訳)
岩波少年文庫「ルパン対ホームズ」(全訳)
偕成社文庫「ルパン対ホームズ」(全訳)
ハヤカワ・ミステリ文庫「ルパン対ホームズ」(全訳)
ポプラ文庫クラシック「怪盗ルパン全集」「怪盗対名探偵」(抄訳)
2018/03/03

【アルセーヌ・ルパンの名言&迷言 】罪は誰にありますか?

「ダンブルバル氏の家庭は崩壊し、アリス=ドマンは泣いている・・・罪は誰にありますか?」
ルパン対ホームズ

※ネタバレ注意
真実を突き止めることだけを重視するホームズのやり方を非難して。

ホームズは見事真犯人を突き止めた。しかし、真相を暴く過程で、家庭の秘密も同時に暴かざるを得なくなり、
事件は解決したものの、被害者の家庭は崩壊する。



ルパンは自分の正義を生きる。